中間子工場


中間子工場」ではパイ中間子を効率よく発生させるために、粒子加速器(サイクロトロンまたはシンクロトロン)を用いて陽子を5億電子ボルト (500 MeV) 程度まで加速して生成標的(炭素、銅等の金属固体)に照射する。陽子は生成標的内の原子核と核反応を起こし、この際に陽子が持ち込んだ運動エネルギーの一部分がパイ中間子として放出される。生成標的外部に放出されたパイ中間子は粒子線として電磁石で構成される輸送系(ビームライン)で目的の場所まで運ばれて利用実験に供される。ただし、現在ではどの中間子工場でもパイ中間子そのものを直接利用する研究はほとんど行なわれておらず、もっぱらミュー粒子が用いられている。ミュー粒子を生成するためには、(1) 生成標的外に放出されたパイ中間子をさらに5–6メートル程の閉じ込め磁場(ソレノイド磁場)中に通し、飛行中にミュー粒子に崩壊させて取り出す方法と、(2) 生成標的固体の表面付近に停止したパイ中間子が崩壊して放出されるミュー粒子を取り出す方法とがあり、前者を「崩壊ミュオンビーム」、後者を「表面ミュオンビーム」と呼ぶ。崩壊ミュオンビームでは正、負の電荷を持ったミュー粒子いずれもビームとして得られるが、表面ミュオンビームでは正のミュー粒子のみが得られる。これは元となる負のパイ中間子が生成標的内に停止した場合、負のミュー粒子に崩壊する前に標的物質の原子核に捕獲され、消滅してしまうためである。

出展:Wikipedia
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